国家や宗教、企業など、さまざまな組織がこの世界には存在していて、それぞれの組織は何らかの目的をもって組織されている。
しかし奇妙なことに、組織は往々にしてその目的からずれたことをする。
たとえば宗教をみても、キリスト教やイスラム教、仏教など、すべての宗教は平和を希求しているにもかかわらず、いずれも戦争を巻き起こしている。
キリスト教は十字軍を組織したし、イスラム教は聖戦と称して戦争したし、仏教は僧兵でもって信長に対抗した。
これはいったいなぜなのか?なぜ、ある目的のために組織されたものが、その最重要であるはずの目的からずれたことを行うのか?
筆者が考えるに、目的以上に重要なことが組織には存在するからである。
全く当たり前の話だが、組織にとって最も重要なことは、組織の維持である。
そりゃそうだ、組織が維持されなければ、目的もへったくれもない。
しかしこの組織の維持のために、目的は犠牲にされる。
国家は何を目的として組織されるかといえば、国民の生命を守るためだ。
だがあるとき他国が攻めてきたとき、国家は国民の生命を守るために一部の国民(自衛隊)の命を犠牲にする。
しかしそもそもなぜ国家は他国を攻める必要があるのか?なぜ自国民の命を犠牲にしてまで、他国を攻める必要があるのか?
これも組織の維持と関係がある。
国家の維持を考えたとき、多少の犠牲を払ってでも他国を侵略し支配することで、国家としての力が強くなり、それは結果として国家の維持につながる。
そして同時に、自国民は他国民より強いと示すことで、自国民は優越感を持ち自国に誇りをもち自国の組織力が高まる。
組織の維持という前提のために、組織は当初の設立目的を犠牲にする。