書評

『国宝』観てきた

いまさらながら観てきた。ちょうど昨日の時点で実写邦画歴代1位になったらしい。 物語の面白さより何より、吉沢亮と横浜流星の演技がすごかった。以前ネット記事で、監督が吉沢亮の歌舞伎の知識に驚いたとあって、たしか片目から涙を流す技?のことを言って…

読んだ本の感想

ババヤガの夜 (河出文庫) 作者:王谷晶 河出書房新社 Amazon イギリスのダガー賞を受賞したということで話題になっていた。暴力から離れられない女が、ひょんなことからヤクザの一人娘の身辺警護をすることになる話。 一気読みするくらいには面白い。分量的に…

朝比奈秋『受け手のいない祈り』感想

受け手のいない祈り 作者:朝比奈秋 新潮社 Amazon 夢中で読んだ。すごい。 著者は医者でもあるからリアリティがすごい。 背骨を立てたまま過労死したヤナザキ。彼女を悼む間もなく、労働に追い立てられる公河。院是の「誰の命も見捨てない」に医者は含まれな…

歌舞伎町スナイパー 感想

歌舞伎町スナイパー (宝島SUGOI文庫) 作者:権 徹 宝島社 Amazon 元韓国軍スナイパーの権徹が、カメラマンとして歌舞伎町を撮り続けた景色を綴ったもの。 この人すごいわ。日本でも有数のヤバい土地、歌舞伎町を18年にわたって撮り続けるそのメンタル。警察に…

『ガダラの豚』感想

【合本版】ガダラの豚 (集英社文庫) 作者:中島らも 集英社 Amazon 三回目か四回目の再読。やっぱり何度読んでも面白い。 この本が出たのは1993年で、もう三十年以上も昔だけど、今読むべき本だと思う。この小説は第一部でインチキ宗教を扱い、第二、三部でア…

『僕には鳥の言葉がわかる』感想

僕には鳥の言葉がわかる 作者:鈴木俊貴 小学館 Amazon 今年読んだ本のなかでもトップレベルで面白かった。ユーモアたっぷりで、専門的な話なのに読みやすい。本当に素晴らしい一冊。 著者の鈴木先生、東大の准教授だけど、見た目が大学生で若く見える。好き…

『ルックバック』を観た

ルックバック 河合優美 Amazon マンガは数年前に読んでいたのだけど、雑に読んでしまったためか、あまり印象に残っていなかった。今回、アマゾンプライムで50分くらいの映画を観た。切ない、泣きそうになった。 作者の藤本先生が何を伝えたかったか分からな…

最近読んだ本の感想

平成監獄面会記 (サクラBooks) 作者:片岡健 笠倉出版社 Amazon 著者が死刑囚に会いに行き、そこでやりとりしたことを綴ったもの。読み始めたら以前も読んだことがあったことを思い出した。 やっぱりというか、死刑囚になるような人間は一癖も二癖もあるなと…

『ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス』を読む

ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス 作者:栗田 シメイ 毎日新聞出版 Amazon まるでRPGみたいな実話だった。「渋谷の北朝鮮」と呼ばれた秀和幡ヶ谷レジデンス。区分所有者が管理組合の理事たちを追放するまでの悪戦苦闘を描く。 17時以降はヘルパーや救急隊員をマンシ…

『関心領域』を観た

関心領域 クリスティアン・フリーデル Amazon アウシュビッツの司令官とその家族を描く。ユダヤ人を虐殺する施設のすぐ横の豪邸で、穏やかに豊かな生活を送る幸せな一家。 規律正しく清潔に合理的に、巨悪を働くナチス。でもおそらく彼らは、自分のやってい…

日曜に観た映画感想

オッペンハイマー Matthew Modine Amazon 監督がクリストファー・ノーランだったので気になって。ちょっと最初からうまく入り込めなかった。 原爆を作ったオッペンハイマー。原爆を作ったことは、今振り返れば、結果的に、世界にとって悪だったのだろう。原…

観た映画、読んだ雑誌

ホテルにこもって映画を観た。 夜明けまでバス停で 板谷由夏 Amazon コロナで仕事を突然解雇されホームレスになった女性主人公の話。バス停ベンチで寝ていた女性ホームレスが殺害された実話をもとに作られている。 仕事を解雇され住むところも追い出され、実…

みんなこんな感じなのか?

『何者』再読。 何者(新潮文庫) 作者:朝井 リョウ 新潮社 Amazon 久しぶりに読んだ。うへ〜きっつー、息苦しい、窮屈、そう感じた。 現実でもみんな、就活生に限らずこんなに複雑なやりとりをしているのだろうか、もちろんここまで言語化されているわけで…

『令和元年の人生ゲーム』感想

令和元年の人生ゲーム (文春e-book) 作者:麻布競馬場 文藝春秋 Amazon 面白かった。 Z世代の価値観がよく分かる一冊だった。 こちらと合わせて読むと、Z世代の共通点みたいなのが見えてきた。 Z世代化する社会―お客様になっていく若者たち 作者:舟津 昌平 …

心の琴線に触れるマンガ

惡の華(1) (週刊少年マガジンコミックス) 作者:押見修造 講談社 Amazon 思春期の鬱屈としたドロドロが爆発したマンガ。 自分の周りにはいなかったが(あるいは自分が知らないだけ?)、好きな子のリコーダーを舐めてたとかいうエピソードをよく聞くし、だ…

ボトムアップ型の選挙とトップダウン型の選挙

選挙に関する映画を二つ観た。 映画 ◯月◯日、区長になる女。 杉並区民のみなさま Amazon 選挙 山内 和彦 Amazon U-NEXTで鑑賞。 上は杉並区長選にでた岸本聡子候補に密着したもので、下は川崎市議会補欠選挙に出た山内和彦候補に密着したもの。どちらも落下…

『選挙』感想

U-NEXTで鑑賞。 選挙 山内 和彦 Amazon 川崎市議会補欠選挙に自民党公認で出馬した山内和彦。縁もゆかりも無い川崎にひょんなことから出馬することになった落下傘候補。初めての選挙で素人の山内は右往左往しながら駆けずり回る。 きっつー。みんな選挙のた…

『Winny』感想

U-NEXTで鑑賞。 Winny 東出昌大 Amazon 匿名でファイルをアップロードしたりダウンロードしたりできるソフト「Winny」を開発し2ちゃんねるに公開した金子勇。彼が逮捕され、その後無罪を勝ち取るまでの実話を描く。開発したものが悪用された場合、開発者は罪…

『食卓』感想

U-NEXTで鑑賞。 アルコール依存症の父とニートの息子、そこに結婚相談所で出会った新しい妻が来る。 最初ドキュメンタリーかと思ったのだが、息子のトイレのシーンがあって、ドキュメンタリーだったらトイレの撮影の許可なんてとれないよなと思ってフィクシ…

『売春島』感想

「売春島」と呼ばれる三重県渡鹿野島の栄枯盛衰を辿った一冊。 売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ 作者:高木瑞穂 彩図社 Amazon 低俗な週刊誌記者のルポかと思いきや、島での売春に関わったさまざまな人への丁寧なインタビューが詳細に綴られていてとても…

読んだ本の感想

貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」 (幻冬舎新書) 作者:鈴木大介 幻冬舎 Amazon ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書) 作者:宮口幸治 新潮社 Amazon 新聞か何かで興味を持って『脳と貧困』を読み、その関連で『ケーキの切れない非行少年たち…

『対馬の海に沈む』感想

一気読み。今年読んだ本のなかでナンバー1。 対馬の海に沈む (集英社学芸単行本) 作者:窪田新之助 集英社 Amazon これは本当に素晴らしいノンフィクションだった。ノンフィクションを一気読みしたのは初めてかもしれない。いやー、本当に素晴らしい。 長崎の…

宮崎駿『君たちはどう生きるか』と村上春樹

昨日の金曜ロードショーで『君たちはどう生きるか』を観た。 君たちはどう生きるか [DVD] 山時聡真 Amazon この作品を観たのは初めてで、なんだか村上春樹の小説みたいだなと思った。マジック・リアリズムというのか、現実を壁抜けして異世界に行き、そこで…

『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』感想

『ただしい人類滅亡計画』を読み終わった。 ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語 (コルク) 作者:品田遊 コルク Amazon 素晴らしい!!! とてもいい本だった。本屋で目に入って読みたい!と思って購入した。自分は、反出生主義に賛同する人間だから…

虎狼の血シリーズを読む

『虎狼の血』シリーズの『凶犬の眼』を読み終わった。 凶犬の眼 「孤狼の血」シリーズ (角川文庫) 作者:柚月裕子 KADOKAWA Amazon 日高はもちろん松坂桃李で脳内再生された。 映画は、役所広司、松坂桃李の名俳優コンビだから、迫力があって面白かった。だか…

ハマータウンの野郎どもと学校教育のパラドックス

『ハマータウンの野郎ども』を読み終わった。 ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応 (ちくま学芸文庫) 作者:ポール・ウィリス 筑摩書房 Amazon 社会学関係の本とかで目にすることがあって、タイトルのインパクトで気になっていた。原題は『LE…

読んだ本の感想

タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ 作者:菅原 由一 KADOKAWA Amazon アパホテルの部屋設置のモニターで宣伝されているので気になっていた。 タピオカ屋の話が延々と続くのではなく、なぜ同じコンビニが近くで…

波長が合う人の本を読むのがいい

pha『パーティーが終わって、中年が始まる』を読み終わった。 パーティーが終わって、中年が始まる (幻冬舎単行本) 作者:pha 幻冬舎 Amazon 本当に、すごくよかった。 波長が合う人の本を読むのはいい。会ったこともなければ、やっていることは自分とは全然…

『ストイック』を読む

気になったので購入して読んだ。 STOIC 人生の教科書ストイシズム 作者:ブリタニー・ポラット ダイヤモンド社 Amazon マルクス・アウレリウスやセネカといった賢人の名言をひきながら、ストイシズムについて説明している。90日間のプログラム。 ストイシズム…

年末年始に読んだ本やマンガ

お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください! 作者:桶井 道 すばる舎 Amazon はじめての人のための3000円投資生活 新NISA対応版 作者:横山 光昭 アスコム Amazon いちばんカンタン!投資信託の超入門…