2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

エドウィン・アボット・アボット『フラットランド』を参考に「悪魔の存在」を考えてみる

エドウィン・アボット・アボットの『フラットランド』を読み終わった。 フラットランド たくさんの次元のものがたり (講談社選書メチエ) 作者:エドウィン・アボット・アボット 講談社 Amazon 副題にあるとおり、この物語は次元についてのお話で、フラットつ…

穴に落ちたことで日常がざらついていく芥川賞受賞作『穴』

小山田浩子の『穴』を読み終わった。 再読だったのだが、この作品のタイトルも、以前読んだことも忘れていた。しかし内容だけは頭に残っていた。読み始めて「あれ、これ読んだことあるわ」と思い出した。 穴(新潮文庫) 作者:小山田浩子 新潮社 Amazon 派遣…

ドラム缶が埋まるほどの大雪のせいで薪棚がぶっ壊れた

今シーズンの大雪は本当にすごくて薪棚がぶっ壊れた。 120㎝はあると思うドラム缶が埋まってる… 去年も雪で大変だったが、今年はさらにすごい。ここはさらに山のふもとで強風が吹き荒れる+陽が当たらないせいで雪が溶けず、雪が降るたびにどんどんかさが増し…

科学の外側の世界を知る 『精神科医の悪魔祓い デーモンと闘いつづけた医学者の手記』

非常に興味深い一冊を読み終えた。 精神科医の悪魔祓い: デーモンと闘いつづけた医学者の手記 作者:リチャード・ギャラガー 国書刊行会 Amazon タイトルを読めば、精神科医が悪魔祓いをしているように思えるが、そうではなく著者である彼はあくまで精神科学…

『AV女優の社会学』から見たポルノハバー

この前ネットサーフィンしてたら「ポルノハバー」なるものを知った。ポルノハバーというのは、pornohubというサイトに動画をアップしてお金を稼ぐ人のことだ。ユーチューバーのポルノハブ版である。男性諸君のほとんどがこのサイトを知っているはずだ。昨日…

本谷有希子『異類婚姻譚』は現代のおとぎ話だった

芥川賞受賞作『異類婚姻譚』を読み終わった。 異類婚姻譚 (講談社文庫) 作者:本谷有希子 講談社 Amazon おとぎ話には、不思議さのなかにちょっとした悲しみや哀れみ、畏れが混じっている感じがする。『異類婚姻譚』はちょうどそんな感じだった。どこにでもあ…

『マトリックス レザレクションズ』は二つの意味でトリニティを回収した

マトリックス レザレクションズ 通常CDプレス版 (限定枚数) アーティスト:ジョニー・クリメック&トム・ティクヴァ Watertower Music/Rambling RECORDS Amazon 大作の続編は往々にしてコケるものだが、『マトリックス レザレクションズ』はコケるどころかビル…

現実の又吉と理想の又吉の師弟関係を描いた芥川賞受賞作『火花』

7年ぶり2度目の再読。 火花 (文春文庫) 作者:又吉直樹 文藝春秋 Amazon 7年前文藝春秋誌で初めて読んだときも、今回読んだときも思った。これは現実の又吉である主人公の僕と、理想の又吉である神谷師匠の「漫才」の小説であると。これは芸人の話で、お笑い…

『コンビニ人間』という引き裂かれた自己を考察する

芥川賞受賞作『コンビニ人間』を数年ぶりに再読。 コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田 沙耶香 文藝春秋 Amazon すばらしい作品。 芥川賞受賞作のなかでも認知度や売り上げがトップクラスの作品だと思う。キャラクターも強烈だし、表現もすごい。読ませる。主…