久しぶりに旅行ではなく旅ができている

今、長野の松本にいる。

昨日の夕方、横浜から電車に乗ってやってきた。青春18きっぷのおかげでこういう旅ができている。行き先をその時の気分で適当に決めている。

松本は初めて来るのでいいところなのかどうか分からなかった。ビミョーだったらぶらぶらせず大阪まで行こうかと思っていたが、駅を出てキレイな街だったので、連泊して今日は松本城を散歩しようかと思う。

今はカプセルでダラダラしているが、カプセルの外から外国人観光客どうしの会話が聞こえてくる。松本が外国人によく知られている街で驚いた。このカプセルホテルは駅から近いし、安いしキレイだから外国人もよく泊まるのだろう。外国人は東京か京都ばかりだと思っていたが、日本のいろんなところを知っているようだ。互いに情報交換している。

「どこに行くの?」

「今日は塩尻に」

「どこそれ?松本?」

「うーん、まぁここからすぐのところ」

ゴールデンウィークはどこ行く?」

ゴールデンウィークって日本だけの言葉だと思うけど、外国人も普通に知ってるんだな。というか、それだけ長旅できるのが羨ましい。

「福岡、九州」

「どうやって行くの?ヒコウキ?デンシャ?」

外国人どうしの会話で、たまに英単語ではなく日本語の単語が出てくるのは興味深い。

「デンシャ、ローカルトレイン」

たぶん青春18きっぷのことを話している。

「イチマンニセンエン」

「安いな!」

ユーチューブでアニメを観ている外国人の反応を時々視聴しているのだが、そのおかげか外国人が何を喋っているのか何となく分かるようになった。コメント欄も英語なので読めるようになってきたし。外国人が日本語をアニメを観て覚えるような感じで、英語を少しだけ勉強している。

昨日ラウンジでマンガ読んでたら、関西人のおじさんが外国人観光客と、酒とツマミを一緒につまみながら会話していた。こういうとき関西人のおじさんを羨ましく思う。彼らは普通に誰かれとなく話かけられるもんな。おじさんの英語は拙かったが、外国人も簡単な単語で分かりやすく答えていた。自分はシャイなのでマンガを読みながら背中で聞いているだけだった。

 

高校のときに読んだ評論で、旅行と旅の違いについて、目的があるかないかスケジュールが決まっているかいないかという違いがあるというようなことが書いてあったと何となく記憶している。

学生時代は、当て所のないふらふらした旅をよくしていたが、大学を卒業すると、べつに会社や役所で働いているわけでもないのにできなくなった。自分の場合は、時間とか金の問題ではなく、悪い意味でバカじゃなくなってきているのが原因だと思う。

以前は、何も考えることなく思い立ったらすぐに旅に出ていた。何となくのだいたいの行き先だけ決めてふらっと旅に出られた。でも今は、体調がもつかなと不安になる。べつに持病を抱えているわけではないし、なんなら学生時代よりも今のほうが、体調もいい。でも、旅先で、コロナとか連鎖球菌に感染したらどうしようとか、南京虫いたらやだなとか、もろもろ考えてしまう。学生時代はそういった、さまざまなリスクを一切考えなかった。バカだからである。

そういう意味では、若いうちに、野宿しながらとか、めちゃくちゃな旅をしておいてよかった。海外も行っておいてよかった。行きたいと思ったところは全部行っておいてよかった。思い立ったが吉日ということわざは本当にそのとおりだと思う。