サドベリースクールという学校を知っていますか?
今、「学校」と書きましたが、サドベリースクールは普通の学校とは正反対の学校です。テストも、時間割も、カリキュラムもないのですから。
そんなサドベリースクールを紹介しようと思います。
1 自由で民主主義的な学校、それがサドベリースクール
先ほども書いたように、この学校にはテストも、時間割も、カリキュラムもありません。子どもたちは本当に自由にそこで過ごせます。
料理をしたい子は料理を作るし、テレビゲームをしたい子はテレビゲームをしています。もちろん、学校で普通に習っている算数や国語をしたってかまいません。
ここには、いわゆる教師はいません。ただ、スタッフと呼ばれる人たちはいます。スタッフは子どもに何かを教えるのではなく、子どもの学びをサポートする存在です。
子どもたちは自由に過ごせますが、だからといって好き勝手に過ごせるわけではありません。ルールというものがあって、はじめて自由は存在するのですから。
サドベリースクールには、ミーティングと呼ばれる話し合いの場があって、子どもとスタッフそれぞれが一票ずつ権利をもっています。子どもたちがこの学校をこうしていきたい、ああしていきたいと意見を出し合って討論します。それで、投票してルールづくりをし、自分たちで学校を自治していくのです。
2 サドベリースクールの歴史
サドベリースクールは、アメリカのボストンで1968年に生まれました。
設立者のダニエル・グリーンバーグという人は、子どもたちの個性をつぶそうとする公教育のありかたに否定的でした。それで、子どもの主体性をはぐくむ自由な学校をつくったのです。
彼の著書では、ロシアの偉大な文豪トルストイの言葉が引用されているのですが、トルストイは実は、教育者という肩書も持っていました。
彼は学校の強制的な教育に否定的で、子どもたちの自主性を尊重する学校をつくりました。しかし、さまざまな妨害に遭いすぐに挫折します。
それで、「子どもたちの主体性をはぐくむ教育を行う学校は今後百年はでてこないだろう」と記しています。
しかし、百年もたたないうちにそうした教育を行う学校が出てきます。それが、ダニエル・グリーンバーグのサドベリースクールです。
サドベリースクールは、子どもたちが主体的に自分の人生を歩めるようにするためのサポートをする学校です。自分の好奇心に応じて自分のやりたいことを決め、それを追求する力が子どもたちにはあると考えています。
サドベリースクールは18歳までの在籍ですが、卒業後は大学に進学したり、専門学校に行ったり、就職したり、とさまざまなようです。
ボストンのサドベリーの卒業生アンケートによれば、約八割の卒業生が自分の人生に満足しているという結果もでています。これは、卒業生が自分の人生を主体的に歩めているという実感を得られていることの証ではないでしょうか。
3 日本にサドベリースクールはあるの?
日本には、2018年現在で20のサドベリースクールがあるようです。
北海道から沖縄まで、全国各地にあります。
僕は、卒業論文の調査で、鳥取県と兵庫県にあるサドベリースクールに行きましたが、いずれも雰囲気が違っていて面白かったです。それぞれのスクールの子どもたちが自分たちの手で自分たちの学校を作っているからでしょうか。
兵庫では西宮という都市にあるため、校舎それ自体は小さく近隣の公共施設などに遊びに行っているようでした。
また、兵庫県神崎郡や鳥取県にあるスクールは自然に囲まれているため、外で遊んでいる子も多かったです。
日本のサドベリースクールには、不登校になった子が行くフリースクールというような印象があります。
その一方で、サドベリースクールの理念に共感し、「ここに行きたい」という理由で入学する子もいます。
見学はいつでもできるので、こうした教育に関心がある人はぜひ自分の目で見てみるのがいいと思います。ここに日本のサドベリースクールの一覧が載っています。
- 作者: ダニエルグリーンバーグ,Daniel Greenberg,大沼安史
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