むしろ周りの人間のほうが重要

いっしょに会社を立ち上げた仲間がいて、その仲間が時間にもお金にもルーズだから困っている。

出会った当初は、「この人、おもろいな」と思った。40代なかばだが発想がおもしろい人で、いろいろと分かっている人だから興味深い人物だった。

で、会社を作ろうというから「いいですね」と反応した。そこから何も動かないまま2年たち、結局自分が動いて金を出し会社を立ち上げた。

この2,3年の彼は、いろいろと企画し立案するが、それが実際に現実になってはいない。この前久しぶりに会って話したが、1年前と言ってることが変わらず、結局彼はどうしたいのだろうなと思った。

今は、もともとの企画にはなかったエビの養殖?の事業化に向けて動いているらしく、金を貸してくれと連絡が来た。すでに数十万貸していて、そのうち5万くらいしか返ってきていないが、また2万貸した。

彼がこちらに移住してきた当初はむしろ自分が世話になっていて、移住した家によく泊まってその敷地にサウナを作らせてもらったりした。それでいて、電気代やネット代を自分はまったく負担しなかった。そういうこともあるから、お金の催促もべつにしていないし、なんならまぁ返ってこなくてもいいかと思っている。

とはいえ、これから自分は本格的に事業をしていこうというなかで、貯めてきた資金のなかから彼にお金を貸しているわけで、もうお金を貸すわけにはいかない。

彼は、頭もいいし才能もあるし柔軟性もあるが、なにしろルーズで飽きっぽいので、エビの事業も軌道にのせられるのか、あるいはそもそもやる気があるのかも分からない。彼が具体的に何をしているのかも分からない。

給料を払っているのならちゃんと成果を出せと言うべきだろうが、会社は開店休業状態で何もしておらず、自分にも彼にも給料は払われていないので彼がどう動いていても気にならない。

自分も彼も、とにかく自由に好き勝手に動きたいと思っているから、行動を指図されたくない。それはわかっているから特に何も言わない。

 

難しいのは、人生にしろ仕事にしろ、何がどうつながって飛躍するか誰にも分からないということだ。自分は、他人から見れば何もしてない成果のない20代を過ごしたように見えると思う。実際、親戚のおじさんにはいろいろと説教された。自分ももがいていたし、苦しかった。でも30代に入った今、そういう苦しみが糧になっていたような気はする。スイッチが入ったといえばいいのか、今になって、ようやくいろいろなことができるようになってきたし、わかってきた。20代の苦しみやもがきが具体的にどう生きたと説明できないし、直接的にはつながっていないことのほうがむしろ多いけど、20代は決して無意味ではなかった。

そういうのがあるから、仲間の今のもがき?も否定したくないというのはある。

 

これまで歴史に名を残してきた人間とか成功者も、おそらく周りの人間に恵まれたはず。だいたい成功者の類はちょっとおかしいのが多くて、だからこそ他の人がしないような発想をしたり、普通の人がとらない行動をとることができる。それはたぶんにリスキーだけど、おそらく失敗したときとかに周りの人間がフォローしてくれるから成功までたどりつけたのだと思う。

『海賊と呼ばれた男』のモデルとされる出光佐三も周りに恵まれていた。だいぶ前に読んだ小説だからうろ覚えだけど、出光には彼に投資してくれる人がいて、彼は何度も事業で資金難に陥ったが、そのたびに投資してもらい難をのりきってきた。そうして今の出光がある。

 

自分は今のところ、時間にも金にもルーズな仲間をあまり信用していない。とはいえ、自分もずっとフラフラしてきて、周りからすれば「こいつは一体何をしたいのだろう」と思われてきただろうし、自分がそうなだけに見捨てたくはない。

そんなことを考えると、成功者よりもむしろ、支援者のほうがすごいと思う。