いやー面白かったね。
アメリカのどこにでもいる普通の若者たち三人が、パリ行きの列車でテロを未然に防いだ話。
現実に起こった話で、何がすごいって登場人物のほとんどを本人たちが映画で実際に再現しているところ。
ハリウッドの巨匠クリント・イーストウッドの作品は初めて観たけど、素人が演じていることに違和感を感じることはなかった。
最初はオーディションで選んだ俳優を使う予定だったけど、監督、どこにでもいる若者である本人たちの素顔に魅力を感じて自らオファーしたらしい。
本人たちも、映画化が決まって「自分の役は誰が演じるのだろう?」と楽しみにしていたところ、突然監督から電話がかかってきて「自分で演じないか?」と提案されたようだ。主演のスペンサーとアレクは子供のときからクリント・イーストウッドの作品に親しんできて、その監督の作品に出るわけだから、まさにアメリカンドリームですよねぇ… こんなことがあるんやね。
列車内で一人の男が銃を乱射しようとするところを、まずマークという中年男性が取り押さえようとする。銃は奪ったのだが、男は予備の銃でマークを撃つ。マークは重傷を負って倒れる。
男は車両のなかで、銃を乱射しようとするのだが、その時スペンサーが突進して男を取り押さえる。仲間のアレク、アンソニーも加担して男を押さえ、重傷を負ったマークを介抱する。
その後、スペンサー、アレク、アンソニーの三人に加え、いっしょに男を退治したイギリス人のクリスは、フランス大統領から最高勲位を授与される。
重傷を負ったマークは、停車した駅で救急搬送されたのだが、映画ではその後4人がフランス大統領から勲章授与される場面になったので、マークは助かったのかなぁと心配になった。
マークは背中と首に大きな傷を負い、首からはどくどくと血があふれ出ていた。けっこうな量が流れていて、スペンサーがマークの首を必死に抑えていたが、こんなにあふれているのだから死ぬんちゃうかと思っていた。
映画ではマークのその後が描かれていなかったので、彼はどうなったのだろうと思って、見終わった後調べたら、なんてことはない、本人は生きていた。なんと、マークも本人役で出演していたのだ!しかもマークの妻も、本人役で出ていた。トラウマになっていてもおかしくないのに、この夫婦すごいよねぇ…
この映画のすばらしいところは、下手に脚色されていないところ。事実に対して忠実に、どこにでもいる若者がすばらしいことを成し遂げたということが描かれている。
そのおかげで、どこにでもいる平凡な人間でも、力を合わせれば偉大なことを成し遂げられるのだと思わせてくれる。
映画は、実際に列車を時速250㌔で走らせて一発勝負で撮ったらしいけど、出演した本人たちは、演じているというより再現しているという感覚で撮影に臨めたそうだ。演じた本人もすばらしいが、そういう雰囲気を作りだせる監督もやっぱりすごいですよね。
おススメの映画です!