ひさしぶりに都会に戻ってきたら緊急事態とは程遠い日常でびっくりした

 僕には、緊急事態宣言が発表された県の比較的大きな都市と、ほとんど人気がない山の二か所に拠点があって、そこを自転車で行ったり来たりする生活を送っている。山には僕が世話になっている芸術家のアトリエがあって、そこで寝起きできる。山にはほとんど人が来ないのでコロナ感染の心配はほとんどない。

 

 緊急事態宣言が発表される7日から今日まで山に行っていた。

 山ではラジオしか情報源がなく、日に日に感染者が増えていることは知っていたが、自分が住んでいる街がどんな状況になっているかよく知らなかった。

 昨日お世話になっている芸術家が山に来て、近所にあるショッピングモールは今ではスーパーと百均しかやっていないことや、街中に人気がなくなっていること、店では濃厚接触を避けてくださいというアナウンスが延々と流されていると教えてくれた。あぁ本当に大変なことになっているんだなぁとつくづく思った。

 

 山にいるとほとんど誰にも会わないし、テレビやネット環境もないし、自分はスマホも持っていないので、この一週間近く世界がどうなっているのかよく知らなかった。だから、本当にこの世界はウイルスで大変なことになっているんだろうかという気分になる。ウイルスが蔓延しているのは対岸の世界の話で、自分には関係ないことだと思えてくる。もちろん、うがい手洗いはしっかりしているし、人込みも避けているのだけど。

 

 で、今日自転車で山から街へと帰ってきたのだけど、帰ってくる途中見る光景がいつもとそう変わらないので驚いた。あれ、芸術家の話によれば、みんなちゃんと自宅にこもっているんじゃなかったのか?

 帰ったら浦島太郎みたいな気分になるんじゃないですかと冗談めかして話していたのだが、なんてことはない、目の前の景色はいつもと変わらなかった。

 

 山から街はだいたい40キロくらいあって、国道を通って帰ってくるのだが、国道沿いの店は、駐車場が車で埋まっているところが多くて驚いた。家に食料がないので、よく行くパン屋に寄ったのだが、そこもけっこう混んでいた。コメダ珈琲やマックも、駐車場にはけっこう車が入っていた。

 

 これ、大丈夫なんかなぁ。

 いやまぁ、スーパーとかドラッグストアとかは行かないわけにはいかないけど、あんなに混雑しているところに行くのはなかなか危険だよなぁ。

 コメダなんか、通りすがりに外からチラッと見ただけだけど、マスクしてない客ばかりだったし。

 

 緊急事態という言葉からは程遠い日常がそこにはあって、これではいつまでたっても宣言は解除されないんじゃないかと思った一日であった。