この10年で髪が増えた

はてなブログ10周年特別お題「10年で変わったこと・変わらなかったこと

 

はてなブログは10周年を迎えたという。おめでとうございます。

 

私はこの10年で自らの髪を増やすことに成功した。

私は企業の提供する増毛プログラムを利用するのではなく、自らのたゆまぬ努力を結実させることによって、戦士たちを育成することに成功したのだ…

 

私はもうすぐ30になろうとしている。10年前は20だった。20の頃の戦士たちは、社会のもたらす圧倒的なストレスと、私自身のふがいないライフスタイルによって疲弊していた。そのころのライフスタイルといえば、月曜から日曜まで夜更かしをし、大学のやっすい学食を利用し、神戸のあちこちにあるラーメンをむさぼっていた。運動も、たまに行う夜中の2時間の散歩くらいだった。大学は苦痛だった。講義室という閉鎖的な空間は私に吐き気をもたらした。あのころは自律神経もいかれてしまっていて、微熱が続き、鼻水を垂れ流し、背中がかゆかった。遺伝的にもアウトだった。2人の祖父はもちろん禿げていたし、祖母までも禿げている。父も禿げている。私の戦士たちはそういう環境に置かれていたので、我が軍は30までには半減しているだろうと悲観していた。

 

かの偉人は衆人から薄毛を指摘されたときこう述べた。

「髪が後退しているのではない。私が前進しているのだ」

偉人は戦士たちを犠牲にすることによって、圧倒的な富を得た。

 

私は富を犠牲にすることによって、圧倒的な髪を得た。

私は大学まではエリートコースを歩んでいたが、髪のために戦略的撤退を行った。人生の夏休みと言われる大学生活でさえ私にはストレスが大きかった。私の脆弱な戦士たちが会社生活に耐えられないことは明らかだった。大学卒業後、私は自らのライフスタイルを変えた。3.5㌔先のバイト先に走って通い、畑で育てた野菜をむさぼった。そのようにして私は戦士たちに奉公した。戦士たちは徐々に気力をみなぎらせて、自らの運命に立ち向かっていった。そして数年後、戦士一人一人の肉体はたくましくなり、我が軍の勢力は20の頃のそれよりはるかに強大なものとなった。

 

 

会社で働いて稼いだ金でその疲れた体を癒しにマッサージに行くってのは不毛なことに思えたというようなことをどこかの誰かがどこかに書いていた。働かなければ体は疲れずわざわざマッサージに行ってお金を使う必要がないからだ。一体何のためにお金を稼いでいるのか分からなくなったとその誰かが書いていた。もし自分が会社生活していたら絶対にストレスで禿げて、企業の提供する増毛プログラムに参加していたと思う。しかし、文字通りこれは不毛なことだと思われる。働かなければストレスも受けず禿げていなかったわけだから。自分の場合、一日数時間のバイトでさえくたくたになって、それ以外のことが手につかなくなってしまう。自分は料理できるから自炊すればお金を使わないが、働いていると料理する気力がなくなって外食して金を使う羽目になる。いったい何のためにお金を稼いでいるのか。

 

これは非常に奇妙な事態だと思える。お金が必要だから働くわけだが、労働が生活をあまりに圧迫するので、働けば働くほど生活のクオリティが貧困になってしまうのだ。もがけばもがくほど余計に沈んでいくアリ地獄みたいな状況が現代社会である。自分は寝そべり族のような生活を送っていて、自分の人生に不満もなければ不安もないが、だからといってこのようなライフスタイルをすべての人が実践できるわけではないだろう。では思い切って、圧倒的なお金を稼いでやろうとしても、少数の勝者と多数の敗者で構成される資本主義システムのもとで、勝てる確率は低い。

 

結局何が言いたいんだかよく分からん文章になった。とりあえず髪が増えてよかった。