ゴミの山を片づけながら思ったこと、感じたこと

仕事で、人の家の敷地に積まれている大量のゴミを片づけている。

蔓に覆われたゴミたち

 

天井に届きそうなゴミ山

家自体はキレイに片付いているが、庭や駐車場とそれに隣接している倉庫には巨大なゴミの山が放置されている。倉庫のほうは天上まで届きそうなくらいにゴミが積まれている。こうした山が何か所にもある。まだ立ちいっていない倉庫にも山があって、それの全貌はつかめていない。あれは最後に片づけるからラスボスである。テレビやネットでゴミ屋敷のゴミ山はよく見ていたが、生で見たのは初めてで「おー!」と思った。なかなかの光景である。

お世話になっている人の兄が、数年前に仕事で持ち帰ってきたさまざまなゴミを、処分せず家の敷地に置いたままにするのが何年も続き、現在の惨状につながったらしい。兄弟が「片づけて欲しい」と言っても何もせず、どうしようもないまま今に至り、自分のところに「やってくれんか」と話が回ってきた。お世話になっているし、最近自分には片づける才能があることが分かったので引き受けることにした。

 

正直に言って、ワクワクする。片づけの仕事って、目に見えて成果が出るからやりがいがある。山が解体されどんどんキレイになっていくのを見るのは楽しい。しかも、感謝される。家の人にも感謝されるし、地域住民や倉庫に隣接して塾をやっている人にも感謝される。ゴミは、もちろん視覚的な意味で嫌な存在だが、それ以上に嗅覚的な意味で嫌である。自分は11月から着手しているからまだ臭いがそんなにないが、それでもドブの臭いというか浮浪者の臭いが鼻を突く。夏はもっと臭いだろう。雨水がバケツや衣装ケースに溜まりそれが数年も放置されると悪臭を放つ。しかも、大量のボウフラが湧く。11月は蚊が煩わしかった。寒い今のうちに処理してしまいたい。

ゴミ山からは本当にいろんなものが出てくる。依頼者の兄は、おそらく閉店した店とかからもゴミの処分を依頼されたはずで、普通の家にはないものがいろいろと出てくる。ガチャガチャ本体や、レンタルビデオ店に置いてあっただろう懐かしのVHS、それに電柱も出てきた。こういうのを見るのはなかなか面白い。高田純次って若いころはエロいドラマに出てたんだなぁとか、昔のドラマは普通におっぱい出してたんだなぁとか面白い。状態が良ければメルカリとかヤフオクで売ったんだが、数年も外に置いてあって雨ざらしになっているので、小型破砕ゴミとして捨てた。ガチャガチャも外に置きっぱなしで枯れた落ち葉や土が内部に入りこんでいたが、それでも貰い手が現れてよかった。市内に住む寺の住職や東京の企業が引き取ってくれた。いろんな需要があるもんだな。ガチャガチャを捨てようと思ったらいくら処分代がかかるのか分からないし、貰い手がいるならあげたほうが、こっちは処分代が浮くしありがたいかぎりである。電柱も処分したいが、これに関しては自分でもどうしたらいいか分からない。コンクリートと鉄棒が一体になっていて、剝離できるのなら鉄棒だけでも鉄くず業者のところに持っていくのに。コンクリートやさまざまなガラは処分に困る。

依頼者の兄は、おそらく最初からゴミを処分しようとは考えていなかったはずで、土のう袋には、割れたガラスの破片や段ボール紙、ペットボトル、土などがいっしょに放りこまれている。なんで土と一緒にするからなぁ…こういうのを見るとめちゃくちゃイライラしてくる。土だけならそのまま畑に捨てるが、そこに粉ごなになったガラスの破片とかプラスチックが混じっているせいで、いちいち分別しないといけなくなる。すごく時間と手間がかかる。土や泥のついたガラスはある程度キレイにしておかないとゴミ回収でもとってくれないからいちいち洗わないといけない。そういったガラスの破片がすでに軽トラ一杯分は出てきていて辟易する。ガラスはガラスで、土は土でちゃんと分別しとけや!まぁ、そういうことができるなら、そもそも自分の家をゴミだらけにすることもなかったのだろうが。

ゴミの山を見ていると「やっぱり人間は早く絶滅したほうがいいな」と思う。人間の作り出した道具はすべて、自然を削り取って作っているわけで、百歩譲って道具をちゃんと使っているならまだいいが、こうしてゴミにしてそのままほったらかしてあるのを見ると、人間は本当に早く絶滅すべきだと思えてくる。依頼者にはお世話になっているから、その兄弟のことは悪く言いたくないが、それでも兄はクズだなぁと思う。冷蔵庫一台、テレビ一台処分するにも何千円もかかるから、それらを処分せず置いておけば処分代が浮くわけで、だからたくさんのゴミを処分せず放置していたのである。しかしそれによって、いろんな人が迷惑を被っているのだ。

とはいえ、自宅に置いているだけまだましなのかもしれない。悪徳業者は、森友学園や伊豆の土砂崩れのあったところのように、地面に穴を掘って埋めてしまうのである。あるいは、山などに不法投棄する。森友の件でも、もしゴミが埋められていなければ正規の価格で取引されていたかもしれないし、そうなれば赤木さんは自殺しなかったかもしれない。伊豆の土砂崩れに関しては、ゴミを埋めて土壌がゆるゆるになっていたから起こったのである。ゴミの処分業者は、文字通りゴミのような業者が多いのである。

街をまわっている廃品回収業者にも気を付けたほうがいい。この前は、県外ナンバーのトラックに乗った怪しい男がやってきて「ゴミを処分してあげる」とか言ってきた。そういうのはたいてい、ゴミをトラックに載せたあとに法外な値段をつきつけてくるのである。県外ナンバーだけでも怪しい。うちは中国地方なのに「とちぎ」ナンバーだった。しかも日本語もちょっと怪しかったな。以前、敷地内に集めておいた鉄くずや石油ストーブが盗難されたが、おそらくそいつが盗んでいったのだろう。最近は、側溝のふたが盗まれたりとかいうニュースを耳にするが、そういった連中が盗んで売りさばいているのだろう。

まぁこんなことを感じながら仕事に励んでいるわけです。