『正直不動産』を読んだらガンガン不動産の知識が身についていくよ

テレビドラマでやってるけどそっちのほうは見てなくて、マンガのほうを読んだらめちゃくちゃ面白いから読んでいる。8巻まで読んだ。

 

いやぁまじで面白い。

面白いうえに不動産の知識がどんどん身についていく。本当におススメ、だまされたと思って読んでみて欲しい、もちろんドラマのほうを見てもいい。これまで不動産の知識を得ようと思って不動産の本を読んでノートにまとめたりしていたのにすぐに忘れてしまっていた。だけどこのマンガは分かりやすいし、スィーっと脳みそに入って来る。

不動産って誰もが人生に少なくとも一度は関わらないといけないし、しかも家を買う場合はそれが人生で一番の買い物になる。それなのにわれわれは不動産のことを何も知らない。土地や家の適正な価値を知らないから業者のいいように購入させられている。ガソリン代が5円あがったとか、もやしが20円値上がりしたってわれわれは大騒ぎするけど、不動産業者に何百万ぼったくられているのか知らないし知ろうともしない。『正直不動産』は不動産業界がいかに消費者をだましぼったくっているか教えてくれる。

スシローだったかくら寿司がおとり広告で炎上していた。ない寿司ネタをあるように見せかけて広告して客をおびきよせていた件。これは詐欺に違いないが、不動産業界では当たり前のようにやっていることなんだよな。この物件いいなと思って問い合わせしたら、業者は「実はもう満室でして…」と噓をつき、べつの物件を紹介するという手口。自分も大学入学でアパートを契約しにいったとき同じことをされたと思う。当時はそんなこと知る由もなく紹介された物件を契約してしまったが。

不動産業者は仲介手数料として売れた物件の3%+6万+消費税をもらう。今回『正直不動産』で初めて知ったが、この3%、実は上限であって本当は1%でも2%でもいいのだ。不動産業者は「3%は上限にすぎない」ということを借主には伝えないから、借主は3%支払うのが当然だと思っている。われわれは本当は負担する必要のないお金まで支払わされていることになる。どうして借主の信頼を裏切るようなことをするかというと、不動産業者にとって大事なお客様は、われわれ借主ではなく、アパートやマンションの貸主のほうだからだ。不動産業者にとっては貸主との信頼関係が末永く続くように、貸主の利益になるように動く。そのせいでわれわれが余計な金を払うことになる。ただしこれはわれわれが不動産について何も知らないからだ。

 

『正直不動産』を読んでいると、不動産の仕組みってえらい複雑だなと思わせられる。底地やら借地権やら旗竿地の問題やら…。土地ってのは本来誰のものでもなくて、でもなぜか国やら県やら、地主やら業者が土地を持っていて、われわれが金を払って買ったり借りたりしなくてはならない。そしてそこには複雑な仕組みができあがっていて、われわれは何も知らないから余計な金を払う羽目になる…。これっておかしくね?おかしいだろ。平安時代には墾田永年私財法があって耕したところが自分の土地やでってなって、そっから土地持ちやそれを守る武士みたいな職業ができて持たざる者は貧しいみたいになってしまったわけで、国やら県やらが管理しないとヤクザ連中がのざばってくることになるのかもしれん。だけどまぁ、今の状況を見るに、土地持ちが国だろうと貴族やヤクザであろうと、持たざる者は貧しい者なのだ。いつの時代だって持つ者が持たざる者から米や金を搾取しているのである。構造は平安時代と何も変わっていない。この構造を変えるのはまぁ無理だから、われわれがやるべきことは結局この複雑な構造を知って知識を蓄えてぼったくられないようにすることしかない。

にしても、あれだよな、現代社会は本当によくできているよな、不動産に限らずたとえば携帯の料金プランでも生命保険関係でも、内容が複雑だ。内容を複雑にされることによって、われわれ消費者は知識がないからぼったくられる。どうでもいいクソみたいな知識をやつらはでっちあげて、でもその知識がなければぼったくられる。うまく金を吸い取る仕組みができあがっているわけだ。本当にクソみたいな社会である。土地にしたって携帯にしたってそのものはただあるだけで、でもそのシステムを複雑にすることで金を吸い取っていく。複雑にすればするほど何も知らないバカはお金を奪われ、ずる賢いやつがより稼いでいく。『正直不動産』でも、悪徳でずる賢い営業が常に一番の売り上げをあげている。主人公の永瀬は、正直営業によってそこに風穴をあけていく。

学校は墾田永年私財法が何年に制定されたかみたいなどうでもいい知識ではなくて、不動産がどういう仕組みなのかもっと教えるべきだと思うが。田舎から都会に進学した自分みたいな人間はほぼ不動産業者にとってのいいカモなんだろうな。何も知らないし、従順で素直だから。もちろん学校教育システムは、システムの仕組みを知って疑問を抱くようなソクラテスではなく、従順で飼いならされた豚を育成する装置なのだから、いつまでたっても墾田永年私財法が何年に制定されたかしか教えないだろうけど。

にしても人間ってのは本当に愚かでどうしようもないクソだ。今は月の土地の売買とかメタバースの土地の売買とかやろうとしてる。誰のものでもない架空の土地を、これは「俺のものだ」といって言い張ってる。本当に愚かでどうしようもない生き物だ。