日本サウナ学会代表の加藤先生の話を聴いてきた

今年鳥取で日本サウナ学会の総会が行われるということで、代表の加藤医師の講演会が米子で開催された。

医学的知見に基づいたサウナの効用や地域活性の話を聴くことができ、とても有意義な講演だった。加藤医師の話はとてもわかり易く、なおかつ例えやジョークが巧みで、最後まで集中して聴くことができた。

 

サウナの発祥国フィンランドでは長年にわたるサウナの効用が研究されてきた。それによれば、サウナに入ることで、心筋梗塞のリスクが50%減、認知症のリスクが60%減、うつ病などの精神疾患は78%減だという。これは驚くべき効果だという。

※これはフィンランド人を被験者としているため、そのまま日本人に当てはまるわけではない。

※この研究は週1でサウナに入る人、2回ないし3回の人、4回から7回の人を調査対象にしている。まったく入らない人は除外されている。なぜならフィンランド人は基本的にみんなサウナに入るからで、入らない人はホームレスなどサウナの効用が見極めづらい人しかいないからである。

※リスク減の数字は、週1の人と週4以上の人を比べた場合のもの

 

サウナといっても、サウナ単体ではなく、冷水浴と外気浴を組み合わせることが重要。このサイクルを何セットかやることで「ととのう」というサウナの効果が得られる。

 

サウナに入ると、血管が柔らかくなる。血管が柔らかくなると、心臓への負担が減る。だから、心筋梗塞のリスクが抑えられるという仕組み。

サウナは認知症のリスクも軽減する。認知症というのは脳に老廃物が溜まっていくことで発症する病気。老廃物は、質のよい睡眠をとることで排除できる。ノンレム睡眠という深いレベルの睡眠が、脳の老廃物を洗い流してくれる。高齢になるほど、眠りが浅くなり老廃物が溜まりやすくなる。だから高齢者になるほど認知症を発症しやすい。サウナに入ることで、ノンレム睡眠が長くなるとい研究結果がでた。つまりサウナに入ることが認知症の発症リスクを抑えることになるのだ。

脳には、デフォルトモードネットワークというぼっーっとしているモードと、セントラルエグゼクティブネットワークという集中モードがあるらしい。実は、ぼっーっとしているほど、脳の広範囲が活動していて、エネルギーをたくさん使っているらしい。そして、このエネルギーをたくさん使う状態が続くとうつ病になるらしい。研究によれば、サウナはぼっーっとしているモードから集中モードに切り替えてくれる。それが脳の省エネにつながり、精神疾患リスクを軽減してくれるという仕組み。

 

ととのうというのが医学的にどういう状態か。

サウナから水風呂という急激な変化によって、交感神経と副交感神経の急激な切り替えが起こり、本来はありえない共存状態が起こる。すると、脳は超リラックス状態になり、頭がスッキリする。これが、ととのうという状態だという。

 

加藤医師によれば、サウナによる地域活性化が進んでおり、富山、新潟、京都の例が紹介されていた。サウナは外気浴も重要な要素で、それはやっぱり自然に囲まれた空間での外気浴がいいという。鳥取も自然豊かで、サウナ学会では県産の梨の果汁を使った生ロウリュの開発をすすめているとのこと。

 

サウナの盛り上がりに付随して、現在サウナアイテムも充実してきているなぁと思う。で、おしゃれなんだよなぁ。

加藤医師によれば、今のサウナブームは3回目で、1回目は1964年の東京オリンピックのとき、2回目は1990年代のバブル崩壊のとき、で今が3回目。

個人的には今のブームはたぶんブームで終わらないと思う。というのも、今まではおじさんが我慢大会みたいな感じで入っていたけど、今は若い男女がハマっていて、サウナがひとつのファッションとして定着してきているからだ。ブームが文化になりつつある。ロウリュもそうだし、サウナハットなどのおしゃれアイテムや、サウナ飯、今話題のCBDを利用したオイルなんてのもある。自分はあまり効果を得られなかったけど。

サウナ学会の総会が鳥取で開催されるのも、平井知事が県をあげてサウナを盛り上げようということで勧誘したかららしい。こういうのは今までにないムーブメントだなと思う。

 

よくサウナは体に悪いという主張があるが、これはサウナの入り方の問題だと加藤医師はいう。サウナに入る一時間前くらいから水分補給をし、暑さは我慢するのでなく暑いと思ったら出ること。冷たすぎる水には入らないこと、シャワーだけでもかまわない。運動と同じで、過激でなければ体にいいのがサウナだという。

 

今回、加藤医師の話を聴いていると、サウナというのは、健康促進や地域活性などいろいろな意味で可能性があるんだなと思った。薪ストーブを据えたサウナなら林業とも関わってくるわけで、サウナはこれからまだまだ面白くなるなと思った次第。