統一教会の大学サークル「カープ」であやうく洗脳されかけた体験

世間を騒がせている統一教会

大学生1年生のとき統一教会がつくった大学サークル「カープ」にあやうく洗脳されかけたのを思い出した。

 

大学に入ってすぐのころ、夜カレーを作っていたら「ピンポーン」とチャイムが鳴った。出てみたら若い女子学生と若い男性の二人組だった。「今新入生にアンケートをとっているんです」ということだった。ちょっと立ち話をして、「良かったら今度サークルのある部屋に食事に来ませんか?」

今振り返れば、「もっと用心せえよ」と思うのだが、田舎からやってきた素直で従順な自分は疑うということを知らなかったので、「分かりました」と連絡先を教えてしまった。

後日、前回家にやってきた男性といっしょに大学の近くにあるアパートの一室に行った。キレイなアパートだった。玄関やトイレなどいたるところに相田みつをの言葉が貼ってあった。カレーかなんかをふるまわれて、その後講義が始まった。内容は忘れたが、哲学的というか宗教的な内容だった。その日はそれで終わって家に帰った。

若い男性と仲良くなってその人は家に泊まりにきた。ジャニーズの嵐と動物占いが好きな人だった。大学サークルではあるがその人は大学生ではなく、何をしているのか分からない人だった。今振り返ればゾッとする。なんでそんな人に警戒心を持つことなく家に泊まらせたりしたのか。

講義があるからということで再びサークルのあるアパートに出向き、「今度キャンプがあるから来ないか」と誘われた。「いくらかかるんですか?」と聞いたら、1万だったか3万だとか言っていたので、「高いな!」と思った。

別のサークルの人にこのことを話したら「それ、統一教会やで!今すぐやめ」と言われ「あれ宗教団体だったのか!」とやっとそこで気づいた。その時点でいろんな個人情報を教えてしまっていたので冷や汗をかいた。

次の日大学の生活相談室に電話で相談したが「個人情報を教えてしまっていてはどうしようもない」と何の解決にもならない役立たずの回答をされた。

若い男性に「どうして統一教会だということを教えてくれなかったのか。もうカープには行かない!」と連絡した。「ごめんなさい、隠すつもりはなかった。もしよかったらサークルとは関係なく友達づきあいしてほしい」と言われた。その人は悪い人ではなかったが裏切られた気分だったので無視したら、その後連絡は来ずカープとの縁も切れた。

 

以上が体験談だが、本当に危ないところだった。キャンプに行っていたら洗脳されていたと思う。キャンプごときに数万円も払えるかい!と思えたのがよかった。逆に、3000円程度だったら行っていたかもしれない。

そもそもどうやって自分の部屋に尋ねてきたのだろうか?どうやってあの部屋に住んでいる人間が新入生だと分かったのか?どっかから情報を得ていたのか?あるいは大学からつけてきたのか?今となっては分からない。

でもそれはさておき、やっぱり自分の危機意識というか警戒心のなさにあきれてしまう。田舎の、特に進学校に通っていた人間というのは、勉強の知識だけあって社会の知識がないから危うい。システムに従順な人間ばかりだから疑うことを知らないのだ。学問にもっとも必要なのは疑う力だというのに。

大学1年のとき英語の授業の前に、学園祭の実行委員が来て「学園祭の成功のためにみなさん2千円の寄付をお願いします」と言ってみんなから2千円徴収していた。自分も出した。その光景を見ていた英語の先生が「あなたたち、なんで払う義務もないのにお金出したの?」と呆れていた。自分たち学生は「え、払わなくてもよかったの!?」と驚いた。進学校の連中というのはまぁこういう素直で従順な羊ばかりなのである。

進学校の連中というのはたいてい勉強しかしてこなかったし、家と学校とあとは塾や予備校との往復ばかりだからあまりにも狭い世界しか知らない。特に田舎の中途半端な進学校は。たとえばアルバイトをしたりして、少しでも大人の社会を知っていたら少しはましかもしれないが、うちの進学校はアルバイト禁止だったので本当に狭い世界で生きていた。そういう従順な羊が都会に放たれて怪しげな宗教やビジネスのカモにされていくのである。羊はカモにされるのである。

こういうのは痛い経験をして初めて学ぶものなのかもしれないが、統一教会などは沼にはまったら出てこられないかもしれない。そうなってからでは遅い。だから大学に入る前からこういうことについてはもっと教育しておいたほうがいいと思う。宗教について教えられるものなのかどうか知らないが。若い子たちが怪しげなビジネスのカモにされて借金を抱えていたり、儲かるからと詐欺の受け子にされたりしている。学校というのはこういうことについてもっと教えていかないといけないだろう。生きる力を教えるなら、社会はいい大人ばかりではなく悪い大人もたくさんいることを教えるべきだ。