これからを生きるための無敵のお金の話 ひろゆき著

 

これからを生きるための無敵の―お金の話

これからを生きるための無敵の―お金の話

 

 

 お金について不安になっていたので、以前から気になっていたこの本を買ってきて読んでみた。

 

 これからの日本がどうなっていくのかを推測しながら、個人としてはどういうふうに生きていけばいいのか、あるいは社会制度はどうあるべきなのかについて軽妙に語られている。

 

 まず日本はこれから経済が落ち込んでいくし、高齢者が増えて子どもは減るから、先行きはあまりよくないよねという話。で、普通は選挙に行って政治を変えていくべきとなるけど、まず多くの有権者が高齢者なので高齢者を優先する政治家が選ばれ、若者を優遇する政治にはならない。

 若者が結婚して子どもを産めないのは、経済的な問題が主な理由だが、若者の多くは非正規雇用長時間労働、低賃金なので自分のことだけで精一杯。

 たとえば高齢者がガンにかかって高額な医療費がかかっても、それは国がお金を出してくれる。去年話題になったガンの治療薬オプシーボは1500万かかるが、国が保障してくれる。このお金を高齢者のためではなく、若者のために使えばいいとひろゆきさんは言うが、もちろんそんなことにはならない。制度は高齢者を優遇したものになっているから。

 

 では社会制度はどうあるべきなのかということで、ベーシックインカムが出てくる。これはすべての国民に一律に毎月一定のお金をわたすという仕組みで、導入すべきと主張する経済学者もいる。

 ベーシックインカムが導入されれば、とりあえずの生活資金は確保できるので、ブラック企業をやめられる。そうすればブラック企業に勤める人はいなくなるので、そういう企業は淘汰される。

 また、生活に対するある程度の不安がなくなると、余裕が出てきて創造的なことができるようになるというのもある。

 

 

 それで、これからを生きるためのお金、資産をつくる方法なんだけど、もっとも簡単な方法は、お金を使わないというもの。だって収入を1万円増やすよりも、支出を1万円抑えるほうが簡単だから。

 お金のかからない趣味があれば、休日お金を使わずにすむ。もし仕事のストレスを休日に1日1万円使って発散させようとした場合、月に8万、1年でだいたい100万かかる。20年なら2000万だ。

 老後の資金に2000万必要と言われていて、多くの人が不安になっている。そうした状況のなかで、お金を稼いで貯めようとするよりも、お金を使わずに豊かに生活できる方法を探すほうが簡単でいいんじゃないのというのがひろゆきさんの意見。

 

 今ではお金持ちのひろゆきさんだが、子どものときは貧しくてお金をほとんど使わない生活をしてきたという、缶ジュースも人生で2、3本しか買ったことがないらしい。そんなひろゆきさんがどうしてお金持ちなのかといえば、お金持ちになっても生活水準をあげなかったから。多くの人は、お金がたくさん入ってくると、それに応じて生活水準をあげるという。で、いざ収入が少なくなった時に生活水準を下げられるかというとそうではないので、破綻してしまう人が多いという。本当のお金持ちとは、収入が増えても生活水準を上げない人のことなのだ。

 

 

【感想】

 今回初めてひろゆきさんの本を読んでみた。合理的な人だなぁというのが印象に残る。話はとても分かりやすかった。

 資産を増やす簡単な方法は、お金を使わない技術をもつことだというのは同意。僕はもともとお金を稼ぐという方向ではなかなか頭が回らないのだけど、お金を使わないという方向では頭がよく回る。自分が生活するのに必要な最低限のお金がいくらなのか把握しておけば生きていける。ひろゆきさんのこのような考え方に、僕はそのとおりだと思ったが、ひろゆきさんに同意してくれる人は少ないらしい。

 世間の人はやっぱり、支出を抑えるよりも、収入を増やしたいのだろう。まぁ普通に考えれば、収入が多いほうが、何かをやるにしても買うにしても選択肢が広がるだろうし。でもお金持ちのひろゆきさんが言うには、収入が増えたところでたいして変わらないし、幸せになったわけでもない。

 

 アメリカでの反資本主義のイベントの話も載ってて、電気もガスも何も通っていないネバダ州の砂漠ではバーニング・マンというお祭りがあるらしい。7万人の人が1週間そこで寄付だけを行うイベント。ある人は服を、ある人はビールをタダで提供する。そういった寄付だけで成り立つ社会を体験できるお祭りで、最後は木でできた人形を燃やして、みんなで「ヒャッハー」と言って終わる。

 こういうことができるアメリカはやっぱりすごい国やなと思った。一回行ってみたい。