本当のお金持ちとはどういう人なのか

 昨日雑誌(『Mac Fan』だったかな)を読んでいたら、ヨスミダイスケという人のコラムが載っていた。

 

 組織に依存せず個人で生きるために必要なことは何かという問いかけがあり、その答えが「お金から自由になること」だった。

 

 社会人になると収入が増え、それに応じて生活レベルを上げてしまう。レベルの上がった生活に慣れてしまうと、欲望がさらなる生活レベルの上昇を求めるため、際限なくお金が必要になるという。お金の魔力は、人を負のスパイラルに陥らせるのだ。

 

 このような負のスパイラルから抜け出すために、ヨスミさんは「ミニマム・ライフコスト」を把握することが必要と言っている。この言葉はヨスミさんの造語で、「生活するのに必要な最低限度の出費」を意味する。

 

 ミニマム・ライフコストを知っておけば、「これ以上は無理して稼ぐ必要はない」と思え、精神的な安寧が得られるという。ヨスミさんの講演会では、会場の人にミニマム・ライフコストの計算をやってもらうそうだが、多くの人は自分の生活にどれぐらいのお金があれば足りるのかを把握していないと言う。

 

 ヨスミさんは現在、ニュージーランドの森で自給自足の生活を送っており、「物技交換」や「技技交換」によってモノやサービスを手に入れているとのこと。このため月に必要なお金は7~8万ほどだという。

 

 このコラムを読んで思ったのは、収入が多いからお金持ちとか、収入が少ないから貧乏という論理は間違っているということ。

 

 どんなに収入が多い人でも、収入以上に出費する人はお金持ちとはいえない。

 逆に、収入が少なくても、自分の生活レベルに見合った支出をしているなら貧乏とはいえない。

 

 つまりお金持ちかどうかというのは、収入だけで決まるものではなく、収入と支出のセットで決まるものなのだ。

 

 ウルグアイの元大統領にホセ・ムヒカさんという方がおられるが、彼は「世界一貧しい大統領」と呼ばれていた。

 彼は妻と二人暮らしで、月収10万くらいとテレビで言っていた。こういう姿から、メディアは「貧しい」と形容したのだろうけど、彼は「自分は貧しくない」と言っていた。

 彼は自分にとって必要なものだけで最小限に生きている、貧しい人というのはぜいたくな生活を維持するためだけに働いている人のことをいうんだ、と語っている。

 

 ホセさんやヨスミさんの収入は日本人の平均年収以下だと思うけれど、彼らは貧しくない。なぜなら、自分の生活に必要な最低限の出費、つまりミニマム・ライフコストを把握しているからだ。

 

 本当のお金持ちは、年収が多い人のことではなく、自分の生活をコントロールできる人のことをいうのだ。