「あとは寝るだけの時間」の又吉のサッカーの話 備忘録

2018年からNHKの「又吉児玉向井のあとは寝るだけの時間」を毎週かかさず聴いてるんだが、今日のラジオの又吉の話がとても良かったので備忘録としてまとめておく。

 

又吉は小3のころサッカーを始めた。他の子はサッカーをやってる兄弟がいたり、友達とボールを蹴り合ったりしていたけど、自分は本当に初めてだったからダントツで下手だった。しかも、貧乏だったからスパイクが買えず、すべってしまう運動靴でやっていた。さらに、他のみんなは革のサッカーボールを持っていたけど、自分は持っていないから30分前に学校に行って、先生に倉庫のカギを借りて体育で使うゴムのサッカーボールを借りていた。そして、恥ずかしくなって練習に行けなくなった。

2か月くらい行けてないときにワールドカップが始まった。ワールドカップのプレイ集でマラドーナの左足だけでドリブルする姿を見た又吉少年は、「これや!」と思いその次の日から練習に行き始めた。又吉は右利きだが、マラドーナは左足でドリブルしていたので、又吉少年は利き足ではない左足で蹴り始めた。練習に行った時も、へたくそのままなのに利き足ではない左足でやっていたから、先輩に「右で蹴れや!!!」とめっちゃ怒られた。そりゃそうだ、久しぶりに来た下手くそな奴が利き足でない左足だけでずっと蹴っているのだから。とんでもない方向に転がっていくのだが、それでも又吉少年は先輩の怒鳴り声を聞かず左足で蹴り続けた。

そうしてずっと左でやっていると、徐々に先輩たちの見る目が「まったん、おもろいな」となってきた。又吉少年は鬼気迫る顔でボールを追いかけまわしていたので、先輩たちも「こわいこわいこわい」と気迫に押されるようになって、パスを回すようになった。先輩たちは又吉少年をかわいがるようになって、「ボールないの?あげようか」とやさしくしてくれたり、くつをくれるようになった。

又吉は最初下手くそだったが、高校はサッカーの強豪校で、大阪選抜にも入る。又吉少年はずっと下手くそなままでムードメーカー的な存在だったが、ある日を境にぐーっとうまくなる。きっかけは、ある日の出来事だった。

コーチが選手みんなを集めて訊いた。「お前ら、自分で自分のこと、うまいと思ってるか?」そのころの又吉は、ぎりぎりで試合に出れているぎりぎりのレギュラーだった。

みんな「下手だと思います」と答えていった。しかし、ひねくれていた又吉少年だけが「おれよりうまいやつが下手だとか言ってたら救いようがないな、おれ、こんなもんじゃないですよ、まだまだ伸びますよ」という心持で、「下手だとは思いません」と答えた。

又吉少年はなんとなく「さすが、又吉や」という感じになると想像していたんだが、コーチは「今自分が下手だと言った奴は伸びる!」と言った。「つまり、又吉、お前だけが伸びひん!」

その瞬間、又吉少年はいわゆるサッカーの神様が自分の頭に降りてきたと思った。「えっ!」と驚いた又吉少年は、「今、一番恥ずかしい瞬間を迎えた俺は、これより恥ずかしいことはもうないわ」と思った。それまでは隠れながら努力していた又吉少年は、なりふりかまわずみんなの前でめっちゃ練習するようになった。コーチの話も一切きかなくなった。今までコーチの話をきいてみんなと同じ練習をしたがうまくならなかったから、これじゃ意味ないなと思って奥寺康彦さんの本を買ってインサイドキックのやりかたから全部読んで学んで、練習をめちゃくちゃやって一気にうまくなっていった。

 

いやぁ、めちゃくちゃ、なんていうか面白いな、文章にしてしまうとあれだが、又吉はやっぱり芸人だけあって、話がとても面白い、そしてとても意義のある話をする。文章にした部分は一部で、あとはぜひともラジオで聴いてみて欲しい。

らじるらじるで聞き逃しは来週月曜まで。

www4.nhk.or.jp