むしろ結婚は経済合理的で、恋愛が経済不合理なのだ

 

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 シロクマの屑籠さんのブログ記事を読んだ。

 とても面白かった。なんか、内田樹の文章を読んでいるような感覚になった。

 

 この記事では、若者が恋愛も結婚もしなくなったのは、経済的に不合理だからと書かれている。資本主義のロジック(経済的に考えて得か損か)が内面化されたことによって、恋愛も結婚も損だという考えを持つ若者が多くなった。

 これは少子高齢化の観点から考えれば危機的だけど、資本主義社会の本当の意味での達成と考えればとんでもない成功なのだ。なぜなら、恋愛やセックスという本能よりも、経済的に得か損かという思考が勝っているからだ。

 

結婚は経済不合理?

 僕はまだ若者の部類に入るのだが、この文章を読んでいて、ふむふむなるほど確かになぁ、当てはまるわと思わせられた。

 でも結婚って、そんなに経済不合理なことなのかとも思った。

 

 普通に考えて、一人分の料理を作ったり、食材を買うよりも、二人分買って作ったほうが経済的にお得だ。

 それに、もし家で倒れたとき、嫁か旦那がいれば助けてくれる。

 

 もちろん記事にあるように、日本社会は個人で生きていけるほど便利な社会になったのだから、わざわざ誰かといっしょになるのは損でしかないというのは分かる。でも結婚に関しては、一概に経済不合理だと言い切れないと思う。

 

 内閣府による平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)の未婚者の将来の結婚意向の項目を見ると、47.0%が「いずれは結婚したい」と答えた。「すぐにでも結婚したい」、「2~3年以内に結婚したい」と答えた人も合わせると、全体の77.7%が結婚したいと思っている。

 一方「結婚するつもりはない」と答えた人は7.0%と一割未満。

 

結婚が本当に経済不合理ならば、結婚するつもりはないと答えるはずだ。

むしろ結婚は経済合理的だと考えるからこそ、多くの人が「いずれは結婚したい」と答えるのだ。

 

恋愛や子育ては経済不合理だと思う

 僕としては、結婚はむしろ経済合理的なことで、恋愛や子育ては経済不合理なものだと考える。

 

 男女平等だと言われるけども、デートに誘うのは主に男性だし、デートに行けば男性が払うのが筋という見方が根強い。

 デートのきっかけを起こすのは男性だけど、なんせ金がない。つまり恋愛の土俵にすらのれない。

 

 結婚が経済不合理なものと思われるのは、子育てが絡んでくるからだと思う。

 子どもは、成人するまではひたすら金がかかるし、成人してもニートやひきこもりになれば永遠に金がかかる。やばい。

 

 恋愛や子育てはとにかく金がかかる。

 いずれも金がかかるうえに、投資した金が回収できるか分からない案件だ。

 恋愛しても結婚に至るか分からないし、育てた子どもが東大生や野球選手みたいに成功する可能性は限りなく低い。

 

スタートしたくないけど、ゴールはしたい

 仮に、恋愛がスタートで結婚がゴールだとするなら、今の若者(僕も含めて)の気持ちはこうだ。

 

 スタートしたくないけど、ゴールはしたい

 

 恋愛は面倒でリスクが高いからしたくない。経済不合理だ。

 でも、いつかは結婚したい。経済合理的だから。

 つまり、スタートしたくないけど、ゴールはしたいのだ。

 

 恋愛しないくせに、いつかは結婚したいと思う若者が多いのはこれで説明できる。

 

 

資本主義のロジックが内面化されようとされまいと、日本人は変わっていないのでは?

 「コスパがいい、悪い」と言うように、多くの若者が得か損かで考えている。

 恋愛も結婚も、多くの若者がコスパで判断している。

 

 とまぁここまで、日本の若者には資本主義のロジックが内面化されているという前提のもと、話を進めてきた。

 でも資本主義のロジックが内面化される前から、日本人はそんなに変わっていないような気もする。

 どこかで見た記事に、今も昔も、恋愛している日本人は3割というようなことが書いてあった。

 それでも以前の結婚率が高いのは、お見合いで無理やり結婚させられていたからだ。

 

 結局、資本主義のロジックが内面化されようとされまいと、多くの日本人は恋愛に消極的なのではないか。日本人は昔から恋愛下手なのでは?

 

若者は無理やり結婚させられることを望んでいるかもしれない

 スタートしたくないけど、ゴールはしたい。

 

 それなら一気にゴールに連れてってくれ。

 日本にはかつてあったじゃないか。そういう文化が。

 

 とはいえ、親戚のおばちゃんの「あんたはこの人と結婚するのよ」みたいな感じで、無理やりくっつけられるのは嫌だ。たぶん多くの若者はそう思っている。

 

 ユヴァル・ノア・ハラリのホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来にもあったけど、今後はAIが結婚相手をマッチングする時代が訪れると思う。AIは経済合理性の塊だから、多くの若者は納得するはずだ。で、法律か何かによって無理やり結婚させられる。気味が悪い世界だけどね。

 でもまぁ、結婚したいけどそのアクションを起こす気にはなれない若者にとって、「この人と結婚しなはれ」みたいな何らかの強制力を、無意識に望んでいるところはある。少なくとも僕は。

 

まとめ

 若者がおおいに恋愛しようが、結婚しようが、少子高齢化に歯止めはかからないだろう。今の日本は、制度的にも、文化的にも子育てに厳しい環境だから。

 シロクマの屑籠さんが言うように、日本の今の状況は、「社会制度や慣習が人間の生殖本能を制圧した記念碑的状況」なのだ。

 

 資本主義がこのまま進行していけば、アフリカなどのフロンティアも先進国化し、いずれはすべての国が日本みたいになっていく可能性は十分にある。

 

 つまり、われわれ日本人は、人類の未来を映し出す鏡であり、ある種のワクチンである。日本の行く末を見た各国は、日本を参考にして国を存続させてほしい。

 

参考

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版): 子ども・子育て本部 - 内閣府