『事故物件怪談 恐い間取り』

 

事故物件怪談 恐い間取り

事故物件怪談 恐い間取り

 

 

 僕が子どものころは、よくテレビで怪談や心霊写真を扱う番組をやっていたけど、今はほとんどない。今は写真や動画を簡単に加工できる時代だから、誰も信じなくなったのせいだろう。

 

 以前は、テレビ番組で科学者が心霊現象は嘘だといって科学的に心霊現象を説明していたものもあった。

 心霊現象はだいたいは人の勘違いだと思う。でも本当に霊的なもの、科学では説明できないものはこの世界に存在していると僕は考える。

 

 松原タニシさんは、事故物件に住みます芸人だ。

 事故物件というのは、殺人や自殺、孤独死などで人が亡くなっている住居のこと。そういう部屋は誰も住みたがらないので、相場の半分くらいで借りられる。お金がない芸人にとっては好都合で、タニシさんはラジオ番組で先輩に言われたのをきっかけにそういう部屋に住みはじめた。

 

 『恐い間取り』では、部屋に住み始めて起こった奇妙な現象が描かれている。

 

 大阪の喫茶店で働いていたタニシさんは真夜中に一人でする片付け作業が嫌だった。

 喫茶店の向かいのビルから何かイヤな気配がするのだ。誰もいない暗い階なのに、そこからの視線を感じる。

 新しく入ってきたバイトの女の子には霊感があったのだが、その子はすぐに辞めた。

 後日街中であったときなぜやめたのか聞くと、「向かいのビルからたくさんの高齢者がこちらを見ているんです。だからそちらを見ないようにしていたんです。でもあるとき気づいたんです。ビルに映っているその高齢者は、ビルじゃなくてここにいたんだと。私は仕事を放り出してすぐに外に逃げました」

 タニシさんもその話をきいて2か月後に辞めたという。

 

 他にはこういうのもある。

 あるイベントの終了後、ファンと写真撮影をしたのだが、その写真に写っている自分の顔だけなぜか真っ黒になるのだ。専門家曰く、「ある人はこのように顔が黒く写りはじめて五年後に亡くなった。」

 タニシさんも五年後に亡くなるかもしれないが、最近出た新刊異界探訪記 恐い旅

によれば全国の心霊スポットを旅している。どうやら事故物件に住み、心霊スポットを巡るのが生業になっているようだ。

 

 

 しかし何よりも恐いのはやっぱりタニシさん。

 女の子の話を聞いてその喫茶店に霊がいることが分かっているにも関わらず、2か月も働き続けるタニシさん。

 五年後に死ぬかもしれないのに、事故物件に住み続け全国の心霊スポットを渡り歩くタニシさん。

 あなたのその精神力が一番恐ろしい。