TBSの『御上先生』を観ている。
脚本を書いている詩森ろばさんって皮肉屋なのかなー、TBSの名作『金八先生』とか『半沢直樹』をさらっとディスってますね!自分も皮肉屋だから、こういうの嫌いじゃない。たしかに、倍返しだのなんだのって、結局社会を良くするためのものじゃなくて、単なる個人戦だもんな。
U-NEXTで毎日1話ずつ観ていて、御上先生は『金八先生』のもたらした逆機能を皮肉ってたけど、御上先生もたいがいだなと。普通に夜遅くまでブラック労働してるし、生理の女子生徒のためにドラッグストアで大量の生理用品をポケットマネーで買ってあげている。令和の金八先生じゃん!毎話毎話、社会課題を提起し、それにどう向き合うべきかを問いかけているところもよく似ている。
それはいいとして、まぁ仕方ないと仕方ないんだけど、御上先生のクラス、美男美女ばかり。そりゃ、みんな俳優なわけで。ルックスのいいのしか、いないよね。
でもふと思った。もしかしたら今の社会もそうなってるんじゃないかと。御上先生の赴任する隣徳高校は、県内トップの東大輩出校。現実のトップクラスの進学校もこういう洗練された子たちばかりなのかもしれない。
昔はガリ勉といったらブサイクのイメージだったけど、今の東大のミスやミスターを見てると普通に美男美女で洗練されている。たしか去年か今年のミス東大は子役をしていたらしいし、天は二物を普通に与える。
とはいえ、これはおそらく「パーソナル イズ ポリティカル」で、政治と関連している。
今の高校生や大学生の親世代は、就職氷河期世代である。就職氷河期世代でちゃんと就職できて、結婚子育てできた人たちは、能力が高い。厳しい時代に、ちゃんと就職できて結婚子育てできるということは、コミュニケーション能力もあるし、ルックスもまぁいいのが多いだろう。
昔は全部が全部結婚し子どもを生んでいたから、質の悪いどうしようもないのもたくさん生まれていた。高齢者を見てたらよくわかるが、クソみたいな高齢者がたくさんいる。しかし就職氷河期世代のダメな人間は就職も結婚もまともにできなかった、つまり就職氷河期世代はある程度、足切りされている。
だから、この世代の子どもたちは、他の世代に比べて、洗練されている子どもが多い。その中で、さらに洗練されている子が集まるのが隣徳高校みたいな学校だろう。まさに「パーソナル イズ ポリティカル」で、政治が就職氷河期世代を救済しなかったからこそ、今の高校生大学生はまともな質の子たちばかりなのである。
昔はルックスのいい人間と頭のいい人間は別だったが、今はルックスも頭もいい人間が普通にいる。それはその親の世代がそういう状況だったからである。まぁそんなことを『御上先生』を観ながら思った。
あと、自分がひねくれているからなんだろうけど、ああいう高校生とは関わりたくないなー。みんなで良くしていこうぜ!みたいなああいうノリがダメだ。昔はそうでもなかったんだけど、今はアレルギー反応を起こす。優等生のあの感じ、ダメだわー。そういや、自分の通っていた高校も、隣徳とはまた違うが、受験は団体戦だのなんだの言ってたなー。高校生のときは従順な羊だったからなんとも思わなかったが、今振り返れば気持ち悪いとしか思わない。
芸能事務所が売り出したい若手の俳優どうしの恋愛ドラマが連綿と続くなかで、こういうドラマがもっとあってもいい。