今日新聞を読んでいたら、熱中症予防として時計型の端末を作業員が身につけているという記事があった。脈拍をよんで、異常があれば休憩を促す装置だという。例年は熱中症を訴える作業員が20名ほどいたが、端末をつける昨年はほぼ0になったとのこと。熱中症対策は、罰則付きで義務化になったとのことで、企業は対策をとらなければならない。
熱中症は、あとから症状が出ることがあるから、本人の自覚だけでは防げないこともある。自分は一度熱中症になったことがある。屋外で野球観戦していて、観戦中は大丈夫だったが、その日の夜から、ひどい下痢と悪寒、頭痛が始まった。体重が二三日で五キロほど落ちた。たぶん、寝不足が原因だったと思う。暑いのにクーラーをかけずに寝たから睡眠不足だった。だから、端末が脈拍をとって休憩を促す仕組みは大事なことだと思う。
でも、これを読んでパノプティコンが思い浮かんだ。一望監視装置。看守がいなくても、囚人は自律的に自らを監視する。
端末のデータによって休憩を促されるらしいが、やっぱり休憩が多くなると、周りの反感を買うだろう。下手したら解雇されるかもしれない。そうならないためにも、労働者は余暇の時間にも気を配るようになるだろう。
端末はデータを測るだけだが、そのデータが従業員の生命だけでなく、労働者生命も握っているわけで、労働者は否応なしに労働のために余暇を使うようになる。余暇は単なる余暇ではなく、労働のための余暇となるのだ。
熱中症対策という大義名分のもと、労働者は端末を身に着けなければならない。労働者の生活はデータに支配されるようになる。
これは今のところ、熱中症対策だけだけど、今後年中使用されデータ管理されるようになる未来もある。たとえば、労働に対する集中力とかがデータ化され、集中度70%を切ると休憩を促されるとかになると、恐ろしい。
何年か前に、NTTだったかドコモが、心拍数かなにかの可視化でCMをやっていて、気持ち悪いなと思った。父親がフットサルの試合をしていて、母と子がそれを観ているとCM。父親が端末を身に着けていて、心拍数やら何やらのデータが可視化されているというものだった。そんなもの可視化されてほしくないんだが。
だけど、熱中症対策の名のもとにデータが可視化され、すべての労働で個人の身体データが可視化されるようになるかもしれない。うーん、恐ろしいな。あり得る未来。経営者としては、労働の効率化アップのもとにデータ化したいだろうし。そういう、データ導入のコンサルとか、起業家とか現れているだろうし。