一昨日ラジオでNHKを聴いてたんだが、うつ病のメカニズムについて話していた。
うつ病発症はこれまでストレスが原因だということは分かっていたが、そのメカニズムについては分かっていなかった。それが最近、うつ病発症にはヘルペスウイルスが関与しているということが分かった。
そのメカニズムについて、
すべての人が子供のころにヘルペスウイルスにかかって、それが体内にずっととどまっている。で、人間がストレスとか疲れを感じると、ウイルスは体外に逃げようとして、その結果だ液のなかに出てくる。ところがそのまま外に出ずに脳細胞のほうへ行くと、ヘルペスウイルスの作用によってうつ病を発症させる原因となるタンパク質ができて、それが脳細胞を死滅させる。
怖すぎやろ!!!
今後は、血液検査によってタンパク質の有無を調べるキットを開発するという。
また、ヘルペスウイルスは脳に行きつく前に、だ液に出てくるので、そこで食い止めるような特効薬の開発を目指すと言う。
多くのうつ病患者が自分の心が弱いからかかったと思っていたが、そうではなくウイルスにかかったせいだと分かってホッとした、という声もあがっている。
うつ病は心の病ではなく、神経の病だったようだ。
メカニズムが分かったことで、今後の治療も変わってくるだろうけど、これまで心の病とみなされた病気が神経の問題だったとしたら、精神科医の存在意義はどんどん薄くなっていくのだろうか?
僕はだいぶ前に精神科に通っていたことがあるが、そこでは医者の問診があって、たまに血液検査して、なんかの機械で身体に電流を走らせて、その後カウンセリングがあった。
何か月か通っていたんだが、まったく効果を感じられないので行くのをやめた。
処方される薬だけが役にたったような気がする。
僕は大学で心理学やカウンセリングの講義を受けていたが、フロイトやユングなどの精神医療は、基本的にはクライアントに自由に発想させて、心の奥底にあるトラウマを認識させるというものだったと思う。
自分の経験を踏まえていうが、こういう治療ってどれだけ効果があるのかよく分からん。このような治療で一体どれほどの患者が救われているのだろうか?
自分の知り合いに統合失調症の人がいるが、薬なしでは生活できないし、人に目を合わせず眉間にしわを寄せてずっとうつむいている。こちらから話しかけない限り何も話さない。
何年も定期的に精神科医のもとに通っているらしいが、どぶに金を捨てているようなもんじゃないか。
薬を処方するなら、精神科医ではなくむしろ神経科医だろうし、精神科医というのもおいおいいなくなるのかもしれんな。
もっとも、薬を投与するやりかたは対症療法にすぎないから、やはり精神科医は必要なのだという意見もあるだろう。
カウンセリングによって、自分の抱える問題に気づかせ、社会や人とのかかわりを見直し、薬のない生活を送れるようにする。精神科医の存在意義はやはりある。こういう考えは理解できる。
しかし、精神科医がこのような理想にどれだけ近づけているのか。分からん。
神戸に富岳というスーパーコンピューターがあるし、AIの進歩も目覚ましいから、今後は今回のうつ病のように、心の病は、神経の病にすり替わっていくと思う。心というものがどこにあるのか知らないが、心も神経間の電気信号のやりとりであるならば、うつ病にしろ、統合失調症にしろ、電気信号のやりとりに問題が起きているにすぎないのだから、そこを薬で正常に戻してやればいいということになる。
一方で、今の科学では、電気信号のやりとりのなかにどうして意識というものが宿るのかまったく分かっていない。
ユヴァル・ノア・ハラリが『ホモ・デウス』で、人間は単なるアルゴリズムにすぎないのか、それを超えている存在なのか迷っていた。
中沢新一が『レンマ学』で、人間の心は、ロゴスだけでなく、レンマの作用が働いていて、ロゴスの作用しかないAIとはべつものであると言っていた。