ここ最近、高校野球の球数制限が問題になっています。この前、朝のNHKのニュースでもこの問題を扱っていたので、ご存知の方も多いと思います。
僕は高校野球が大好きなので、この問題にはとても関心があります。
と同時に、教育と関わる大きな問題がここにも潜んでいると思いました。
それは、以前にも書いた組体操の問題と同じものです。それについて今日は書きたいと思います。
1 高校球児の過酷な現状
日本ハムにドラフト1位で選ばれた金足農業の吉田輝星君のように、高校野球の試合ではエースに頼りがちになります。
昨夏、地方大会から甲子園決勝まで吉田君は一人で投げぬきました。
夏の甲子園は猛烈に暑いです。それを連投に次ぐ連投で勝ち抜いていったのです。
「金足農旋風」は流行語の候補にも選ばれるほど、すばらしい戦いぶりでした。
しかし、この活躍の裏には、吉田君というすばらしい投手の選手生命が終わってしまう可能性もあったわけです。
身体が完成したプロでさえ、一週間に一回しか投げません。
しかし高校野球では、まだ身体の出来上がっていない高校生が、あの灼熱のマウンドで連投することもあるのです。これは大きな問題です。
実際、高校野球で多くの有望な投手の前途が絶たれてしまいました。
2 新潟高野連の球数制限
こうした高校球児の過酷な現状をうけて、新潟高野連は、県大会で100球の球数制限をつくりました。
しかし、日本高野連はこの決断に待ったをかけたのです。
というのも、部員数の少ないチームでは、何人もの控え投手を用意することが難しいからです。
球数制限は、控え投手をたくさん用意できる強豪校に有利になる可能性があるというのが、反対派の意見です。
一方、横浜の筒香選手や元巨人の桑田選手などは、球数制限の導入に賛成しています。やはり、投球過多は球児の未来をつぶしかねません。
温暖化の影響で、夏の甲子園は年々熱くなっています。僕はよく甲子園に足を運びますが、めちゃくちゃ暑いです。一人で投げぬくには厳しい環境です。
いずれにせよ、複数の投手を用意して試合に臨まざるをえなくなっています。
3 組体操の問題と共通するもの
球数制限に関する記事をいくつか読んでみました。
プロ野球選手や、OB、整形外科医、教育家などいろいろな人の意見が登場していました。
でも、一番肝心な、高校球児の言葉がどこにも見当たらないのです。
おかしくないですか?どうして高校野球をする張本人の意見が出てこないのですか?
そして、これは組体操の問題と同じなんです。組体操の是非を問う問題でも、どっかの大学教授や教師の意見しか登場しないのです。子どもの意見は全く見当たらないのです。
4 大人は子どもの意見に耳を傾けるべき
球数制限も、組体操と同じく教育の問題です。
ならば、高校球児一人一人が自分の問題としてちゃんと考えるべきです。
高野連が決定したことに「ハイハイ」と従っているだけでは、人間として成長する機会を逃してしまいます。
球数制限があろうとなかろうと、チーム内でどうすべきか話し合うべきです。もちろん勝負の世界ですから勝つことは大事ですが、高校野球も部活動なわけですから個人の成長が目的なわけです。
それなら、自分の頭で課題を解決するいい機会じゃないですか。
自発的に学ぶという意味のアクティブラーニングや「生きる力」を育むというのが、今の学校教育の柱です。
文部科学省も、「高野連ではなく、球児のみなさんが導入の是非を決めてください」と言えばいいのです。
5 まとめ
僕は、一高校野球ファンとして球数制限に複雑な思いを持っています。
球数に制限があれば、早稲田実業の斎藤選手と駒大苫小牧の田中選手の緊迫した投げ合いは実現しなかっただろうし、横浜の松坂選手の伝説的なピッチングもありえなかったでしょう。
一方で、球児の選手生命を守るためには制限をかけるべきです。
非常に難しい問題です。
でも、それは措いといて、高校野球は高校球児のものですから、球数制限の導入について高野連はもっと球児の考えを聞くべきだと思います。
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