魅せる筋肉より、使える筋肉が欲しい

 以前、生態系の調査を仕事にしている人と飲んでいた時、「魅せる筋肉」と「使える筋肉」の話をしてくれた。

 細かい話はもう忘れたけど、筋肉にそんな違いがあるのかぁと印象深かった。

 

 魅せる筋肉とは、ボディービルダーのような肉体美を強調するための筋肉のこと。

 一方、使える筋肉とは、実際に役に立つ(重いものを持ち上げられるというような)筋肉のこと。

 

 魅せる筋肉があるほうが当然モテるわけで、ジムに通う人の多くは魅せる筋肉をつけようとしている。

 しかし魅せる筋肉もつけすぎると不都合が生じるらしい。

 

 ボディビルダーは筋肉がすごいから、当然強そうに見える。

 しかし、実際は弱い。

 すぐに風邪をひくらしいし、傷もなおりにくくなる。

 オードリーの春日は、タモリと山中先生の番組で「傷がなかなか治らない」と言っていた。

 

 実際は、筋肉が多いから弱いのではなくて、脂肪が極端に少ないと弱くなるらしいのだが、鍛えたい人は脂肪を落として筋肉をつけようとしているわけだから弱くなろうとしているわけだ。

 

 僕は魅せる筋肉よりも、使える筋肉が欲しい。

 

 使える筋肉をつけようと思ったら、自然のなかで動き回ることが一番の方法だと思う。ジムに行くよりも、山を登ったほうが使える筋肉がつくし健康になる。

 

 うちの師匠は山でアート作品を制作しているのだが、山の斜面を行ったり来たりしている。師匠はむきむきではないのだが、脱ぐとガタイがいい。なんというか、ちょうどいい筋肉のつきかたをしている。

 

 師匠は現在75歳なのだが、明らかに同世代のじいさんとは体格が違う。動きのキレも全く違う。おそらく体力的には30代の人と同じくらいではないかなと推測している。

 山の斜面を歩き回っているためか、平衡感覚も優れている。

 普通の人がつまづいたり転んだりしそうになる場面でも、師匠はぐっとこらえ、うまくバランスをとってコケるのを回避している。あっぱれである。

 

 健康になりたい、いつまでも若さを保ちたいと願うなら、魅せる筋肉よりも使える筋肉を鍛えるべきだ。

 そのためには、ジムではなく、自然に通うべきなのだ。