AIとBIはいかに人間を変えるのか

 

AIとBIはいかに人間を変えるのか (NewsPicks Book)
 

 

AIとBIはいかに人間を変えるのか。

 

AIとは人工知能のこと。

BIとはベーシックインカムのこと。

 

本の構成

1章 人工知能について

2章 ベーシックインカムについて

3章 人工知能ベーシックインカム

 

1章、2章で、それぞれの基本的な知識を学ぶことができる。

 

人工知能については、テレビやら本やらであれこれ取り上げられていることと同じようなことが書かれている。

 

ベーシックインカムについて

 

 ベーシックインカムについては、最近注目され始めたけど人工知能ほどではない。

 この本でベーシックインカムについての基本的なことが学べる。

 だから、ベーシックインカムについて知りたい人にはおススメ。

 

ベーシックインカムをおおざっぱに説明すれば、全国民に、生活できる最低限のお金を給付する仕組みのこと

 

生活保護と違って、金持ち貧乏関係なく給付する。

年金と違って、年齢に関係なく給付する。

 

ベーシックインカムの考え自体は古くからあるのだけど、それが最近実験としていろいろな自治体で導入されているので注目を浴びるようになった。

 

また、いろいろな思想を持つ人たちに支持されているのも、注目を浴びる理由の一つ。

 

コミュニタリアン 国民一人一人が平等であるべきで、平等に利益を得られる共同体

共同体主義)  が望ましいとする立場

 

リバタリアン   国家の介入はなるべく少ないのがいいとする立場

自由主義

 

ネオリベラリスト 経済資源の分配は、政府ではなく市場に任せるべきという立場

新自由主義

 

それぞれまったく違う立場だけど、いずれの立場の人でもベーシックインカムを採用すべきと言う。

 コミュニタリアンベーシックインカムを導入すべきと主張するのは分かる。ベーシックインカムは平等にお金を給付する制度なのだから。

 

 リバタリアンベーシックインカムを支持するのは、ベーシックインカムは政府の仕事を減らす=政府の介入を少なくするから。

たとえば生活保護は受給資格を認めるかどうかに多くの労力を必要とする。

役場の人間は、申請する人の生活実態やら収入やらいろいろと調べ、適正かどうか判断しなければならない。じつにめんどくさい作業だ。

でもベーシックインカムなら、そんな余計な仕事を必要としない。

これがリバタリアンが支持する理由。

 

 ネオリベラリストがベーシックインカムを支持するのは、給付されたお金の使い道は国民が自由できる=市場に分配機能があるとみなせるから。年金などの社会保障制度だと政府がお金を分配することになるが、ベーシックインカムなら国民が自由に使える分、お金は市場が分配するようになる。

この点がネオリベラリストの理念と一致する。

 

 

 フィンランドやオランダのユトレヒト、カナダのオンタリオ州で社会的な実験が行われたのだが、予想を裏切る結果が出た。

 

 ベーシックインカムは生活できるだけのお金を給付するのだから、誰も働かなくなると予想された。

しかし実験の結果、労働意欲は失われなかったという。

そして給付されたお金は、個人の勉強や食料の調達など自己の生活に活かす目的で使われた。

 

いいことづくめのようだが、ベーシックインカムが実際に制度として導入されている自治体はない。

 

官僚が自らの仕事がなくなると思っていることと、財源への懸念といった理由、そして「働かざる者食うべからず」という通念があること。

 これらが導入がためらわせている理由だと筆者は述べる。

 

AI+BIで社会はどうなるか

 多くの人が知っていることだが、これから数十年のうちに人工知能が多くの仕事を人間から奪っていくと言われている。

 

 だからこそ、ベーシックインカムを導入すべきだと筆者は言う。

 ベーシックインカムで国民の生活を保障する。働かなくても食っていけるようにする。

 これからは、食うために仕事をするのではなく、豊かに生きるために仕事をする時代だ!

 実験段階ではベーシックインカムで労働意欲が損なわれることはないと示されている。

 

 今までは「働かざる物食うべからず」だったが、これからは「働かなくとも、食ってよし」の時代だと筆者は言う。

 

感想

 僕はニートなので、ぜひともベーシックインカムを導入してほしいと思っている。だから筆者と同じようにベーシックインカムを導入することに賛成だ。

 

 しかし筆者の考えには同意できない。

 仮にベーシックインカムを日本の制度に組み込んだとしても、おそらく日本人は今までと同じマインドで働くと思う。

 日本人は豊かに生きるために働くことはできないだろうと僕は考える。

 

 筆者は、ベーシックインカムを導入するとしたら月に8万の給付をすればいいと言っている。

 僕なんかは8万あれば十分なんだけど、他の日本人は「8万なんてとても足りない」と嘆くだろう。絶対。

 

 8万もらっても不安で不安でしかたなくて、相変わらず必死になって働くのが日本人だ。

 これが仮に10万とか15万でも、多くの日本人は将来を悲観して必死に働くと思う。

 

 だからベーシックインカムを導入しても、失敗する。