コロナウイルスが猛威をふるっているのを見るとワクワクしてくる

 じつに不謹慎だけどね。

 僕は昔から、日常が壊れて非日常になるとワクワクしてくる。

 日常が粛々と営まれていると、なんだか息苦しくなってくる。

 退屈してしまうのかな、よく分からないけれど。

 ぼくは昔からあがり症で、授業で発表しないといけない日が近づくと憂鬱な気分になった。発表時は動悸が激しくなって、声が出なくなる。でも、先生が遅刻したりとか、機械が故障して発表用の資料が印刷できないとか、そういうハプニングが起こったときに限って、僕はなぜかまったくあがらずに、むしろ落ち着いて発表できるのだった。普通は逆だと思うのだけど。

 

 コロナウイルスの猛威によって日常が壊れている。だから僕はなんだか楽しい気分になっている。不謹慎だけど仕方ない。そういう気質なのだ。

 東京オリンピックが開催されようがされまいがどうでもいいけど、延期か中止になったほうが楽しそう。されれば史上初だろうし。

 

 この前の新聞に、東日本大震災を機に引きこもりを抜け出して、毎年東北に支援に行く青年の記事が載っていた。震災が起こったから彼は引きこもりを抜け出したのだ。不謹慎だけど、震災のおかげである。

 

 世の中には一定数、僕みたいな、日常が壊れとワクワクしてくるタイプがいると思う。べつに日常が壊れるのを願っているわけではないが、非日常のほうが楽しく生きられるタイプ。こういうタイプは、安定より不安定を好むから、これからの目まぐるしく変わっていく時代のほうが生きやすいと思う。