組体操の是非について思うこと

 数年前から運動会でやる組体操の是非が問われている。

 というのも、何段もの人間タワーの上から落ちて骨折する子がいたり、ピラミッドで一番下の子が重みに耐えられなくてピラミッドが崩壊し、けがをする子がけっこうな数にのぼるからだ。自分ももちろん小学生時代に運動会で組体操をやったが、そんな危ないものだったっけ?となる。でも、べつの地域の組体操を見て驚いた。たしかにけがをしてもおかしくないようなことをやっている。

たとえば、有名なのがこれ

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こんなん一番下の子にめちゃくちゃ負担がかかっているわけで危ないだろう。

 

 こういった組体操をやめるべきだと訴えている人の筆頭が名古屋大学の内田良さん。

 組体操など学校が抱えるさまざまなリスクを研究している。組体操に関しては、行政が動いたこともあってタワーやピラミッドの段数に制限がかかり事故が減ってきている。が、以前として事故は相次いでいる。

 

 一方で、やっぱり組体操は昔からの伝統だし、地域の人や保護者は「美しい」と感動してくれる。スポーツはべつに組体操に限らず危険と隣り合わせなのだからやみくもに廃止するのもいかがなものかという意見もある。

 

 以前新聞で読んだ組体操の記事では、だいたい上のようなことを述べている否定派と肯定派の学者の意見が載せられていた。

 

 自分としては肯定派のいうことも分かるし、否定派のいうことも分かる。

 それにしても、新聞の記事にしろ、テレビやネットの記事にしろ、読んでいてとても違和感を感じるのは、そこには組体操をする当の子どもの声が一切出てこないことだ。

 子どもたちは一体組体操をすることに対してどう思っているのだろう?学者や知識人、教師や保護者が何と言おうが、やるのは子どもではないか!どうして子どもの意見をきかない?

 おかしいなぁとつくづく思うのは、自分で主体的に決める力をはぐくむとかアクティブラーニングとか文部科学省はいうのに、子どもたちに何かを決めさせたり自発的に学ぶ機会を文部科学省は与えていないところだ。

 やるかやらないかを子どもたちに決めさせればいいではないか。組体操の是非という問題が現実にあって、事故も起こっている。一方で組体操は昔からの伝統でもある。

 みなさん、どうしますか?運動会では組体操しますか?とクラスで子どもたちに議論させたらいいではないか。子どもたち一人一人が自分の頭で考えて、多数決でやるかやらないか決めればいい。今年はA組はやりますがB組はやりませんとなるかもしれないし、やるにしても参加したくない子は参加しないでもいいというルールを子どもたちはつくるかもしれない。去年は5段タワーで危なそうだったので今年は最高でも4段にします、とかそういう決まりをつくるかもしれない。

 

 課題の解決においてやるやらないの二択にしてしまうと、いずれの選択肢にもメリットデメリットがある場合、選択が硬直してしまう。記事を読んでいると、「じゃあどうしたらええねん」と思ってしまう。

 せっかく格好の課題があるんだから大人が決めてしまうのではなく、子どもたちも巻き込んで話し合っていけばいいじゃないか。子どもって大人の側からでは出てこないような発想をもっているからとても面白い。

 子どもと課題を解決していこう、こういうふうに考える教育行政の人間ははたして現れるのだろうか?